リトミック

リトミック りとみっく

リトミックとは?
リトミックは、楽しく音楽と触れ合いながら基本的な音楽能力を伸ばす。それに伴い身体的、感覚的、知的にも、これから受けるあらゆる教育を充分に吸収し、それらを足がかりに大きく育つために、子どもたちが個々に持っている「潜在的な基礎能力」の発達を促す教育である。

人間にとって最も自然な表現である音楽を手段として、優しく深く働きかける。まずその結果は音楽能力の飛躍的向上という形になって表れるが、こどものためのリトミック本来の目的は豊かで可能性あふれる人格形成である。

リトミックの歴史

リトミックは、20世紀初頭に、スイス・ジュネーブの作曲家で音楽教育家でもあった、エミール・ジャック=ダルクローズ博士によって創案された音楽教育法で、児童心理学・生理学の観点から、大切な幼児期〜小児期の人格形成教育として知られている。
ダルクローズ博士は当初作曲家・演奏家として活躍し、教育者としての活動は1892年にジュネーブ音楽院に和声学の教授として着任したときから本格的に始まる。

当時、音楽院には将来の演奏家、作曲家など音楽の専門家となることを目指す若者が学んでいたが、ダルクローズは授業における彼らの活動を観察することによって、彼らが技術的には高い水準にあるものの、音楽家として最も重要な音を聴き取り、感じ取る能力は不十分であることに気付く。
そこで、音を聴きとって歌う練習、さらには歌う際に手を動かす練習などを考案して学生たちの音楽を感じ取る能力、音楽について考える能力を伸ばすための教育システムづくりに着手した。
これがリトミックの始まりである。

児童ケアラでの現在の取り組みや目的

ご利用者様は、地域・学校・性別・年齢・出来ること出来ないことのレベル・集団活動の得手不得手など、全員が別々の個性を持ち、また障がいに関しても仮に同じ診断名がついていたとしても、それぞれに内容は全くと言っていいほど違う子供たちである。
『集団で同じように動こう!』という活動に、どうしてもなかなか前向きに参加出来なかったり、すぐにどこかに動いてしまうといったことも多い。

学校での音楽の授業において、集団・個別で歌唱をする、リコーダー・ピアニカ・木琴・太鼓などで合奏をする、音楽の歴史を知るなど、様々な学習を行っている。児童ケアラにおいても、同様に子供たち向けの歌を集団で歌唱しているが、先述の通り、なかなか思うようにはいかない。
そこでまずは、『音楽は難しいことではないんだよ。楽しいことなんだよ。』ということを知ってもらうことから始めている。

従来使っていたキーボードの電子音や、YouTubeなどの画面越し(スピーカー越し)に再生させた音ではなく、なおかつ学校ではあまり触れるチャンスが少ないアコースティックギターやエレキギターなど、生の楽器や見たことがないであろう楽器を使い始めた。

“音楽そのものへの興味の形成。”

ただ流れている曲に合わせて何となく合唱するだけではなく、生楽器の伴奏(メロディー演奏がない)に合わせて歌うことによって、歌詞とメロディーを同時に判断して歌う必要性が求められる(所謂"弾き語り"に近いもの)。
また楽器の演奏(伴奏)を生で行うことにより、テンポを変化させたり、元の音源とは全く違う雰囲気の曲にアレンジしたり、様々な工夫をすることが出来る。スタッフの演奏する音楽を聴いて、それに反応して動きを判断し、身体運動・表現(行動)する。

《感じ取り→考え→行動する》
という、人間にとって非常に大切な行動パターンのトレーニングを行うことが出来る。

音楽に対して即座に反応すること=「即時反応(quick reaction)」を重視するので、集中力や反射性を養い、感じ取ったことを即座に表現することで、心と身体のバランスをとることを目指す。
そして、表現することの楽しさを通じ、同じ目的を持ち一緒に考えて行動することで、集団活動への参加は楽しいものである、という適応能力の向上を目指している。


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2020年08月03日 原稿作成:岡邨 隆史

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