大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部骨折 だいたいこつけいぶこっせつ

概説

大腿骨頸部骨折には外側骨折と内側骨折がある。
見分け方は、関節包内で起こった骨折が内側骨折であり、関節包外で起こった骨折が外側骨折である。

【骨折型による分類】
[内転型骨折]骨折部は内反股の状態を示す。

[外転型骨折]骨折部は外反股の状態を示す。

発生機序

転倒時に大転子部を打った場合に発生することが多く、これは頸部に長輪圧・剪断力・屈曲力などが加わるためである。また歩行や起立動作の際に、捻転力や屈曲力が加わり発生することもある。

症状

  1. 機能障害
    起立は不能となり、背臥位の状態で膝関節伸展位のままで挙上することができない。外転型骨折に多い噛合骨折では歩行可能なこともあり、詳細な診断を必要とする。
  2. 下肢の短縮
    棘果長は健側に比べて短縮する。内転転位の著しいものほどその短縮は大きい。
    (下肢短縮の原因が大転子より近位にあることは大転子高位によって明らかである)
  3. 骨折後の肢位
    下肢は一般に外旋位にある。

  4. 腫脹
    内側骨折と外側骨折とでは腫脹の現れ方に差がある。前者の場合は関節包内骨折のため著明でないが、後者で著明かつ早期に現れ大転子付近にまで及ぶ。
  5. 疼痛
    おおむね股関節のスカルパ三角(大腿三角)部に圧痛を認める。静かに大転子部を叩打するか、踵骨部に大腿長袖圧を加えることによって股関節部に強い疼痛が出現する。

治療

  1. 観血的療法
    ・内側型…人工骨頭置換術(金属、セラミック)など
    ・外側型…多くは噛合骨折で予後良好であり整復不要。
  2. 非観血的療
    ・持続牽引(不全骨折・噛合骨折の場合)
    ・術後…自動運動(固定期間中は膝蓋骨の運動、大腿四頭筋の等尺性収縮運動)
    固定期間…12週間以上

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2020年12月10日 作成:深見哲平

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